東南アジアを中心に自生する落葉高木「カポック」は、乾燥に強く、農薬や化学肥料、灌漑をほとんど必要としない、環境負荷の低い植物です。農業に適さない土壌環境でも育ち、さらに土壌の回復や生態系の再生にも貢献する植物として、近年注目されています。
スタイレムは、カポックの持つ高い持続可能性に着目し、現地での植林活動を支援するとともに、カポックのワタを充填素材に使用したオリジナル製品「Kapoket(カポケット)」の開発と展開にも積極的に取り組んでいます。
カポックは、その実に含まれるワタ「カポックフラフ(Kapok Fluff)」から得られる天然繊維が持つ特性により、自然との共生を実現する素材として注目されています。
この繊維の約70〜80%が中空構造で構成されており、非常に軽量で保温性にも優れているといった特性があります。さらに、表面に天然ワックスが含まれているため、撥水性・防虫性・抗菌性の特性も兼ね備えています。
さらに、カポックは木を伐採せずに実のみを収穫するため、森林保全との両立が可能な持続可能な資源です。
中空構造
羽毛の様な軽さ
(コットンの約5分の1)
保温性
防虫性
抗菌性
撥水性
カポックはコットンに代わる植物由来の繊維原料としても、近年関心が高まっています。その一方で、カポックの繊維は非常に短く繊細なため、紡績や織編加工に適しておらず、一般的な衣料用繊維として使用するには技術的なハードルがあります。
そこでスタイレムでは、「充填素材」としての可能性に着目し、カポックのワタ「カポックフラフ」を活用したオリジナル製品「Kapoket(カポケット)」を開発しています。
カポックは軽量で中空構造を持つ反面、輸送時には圧縮されるため、繊維が塊状になりやすく、従来の機械では均一にほぐして製品に充填することが難しいという課題があります。この課題を解決するため、カポックの特性に適応するファッション用途向けの専用加工設備を導入しています。繊維のほぐれやすさや充填効率を高めることで、持続可能で高機能な中綿素材として、衣料や雑貨製品への応用が可能となりました。
自然との共生と機能性を両立する素材として、
カポック繊維の探求と「Kapoket」を通じた持続可能なモノづくりを推進していきます。