生地への徹底したこだわりとテーラー監修のデザインで話題のDtoCブランド<+CLOTHET/クロスクローゼット>が、これまで廃棄処分されてきた裁断くずを再利用したTシャツとソックスを販売します。
+CLOTHETの代表素材「SUVIN PLATINUM(スビンプラチナム)」は、綿花の繊維の長さが35㎜以上の超長綿において特に繊維長が長く、その希少性で世界トップクラスと称される「SUVIN(スビン)」のなかでも最高品質の“ファーストピック(初摘み)”だけを糸にしたものからつくられます。今回のプロジェクトでは、年間約1万枚の販売実績のある、この原料を使ったTシャツを生産する際に発生する裁断くずを再利用したTシャツとソックスを開発。資源の節約やゴミの削減に貢献しながら、ファッションの新たな可能性に挑戦します。
- Recycled Suvin T-shirt ¥8,800(税込)
- Recycled Suvin Socks ¥1,650(税込)
2023年7月1日(土)より+CLOTHETのONLINE STOREにて販売。
+CLOTHET Recycled Suvin Project
これまでなかったラギッドな素材感でブランドの世界観を拡大
生地の面積に対してパターン(型紙)がどれだけ効率よく収まっているかを収率といいます。+CLOTHETの顔ともいえるスビンプラチナムのTシャツではそれが平均70%。残りの30%はこれまで裁断くずとして廃棄処分されていました。せっかくの素晴らしい繊維がムダになってしまうのはもったいない。そんな想いがあり、+CLOTHETの企画チームでは以前からなにかアクションを起こそうと考えていました。
そんななか、世界的なサステナビリティへの関心の高まりもあり、使用済みの衣服や生産の過程で生じてしまう生地の端切れなどを回収し、原料として再利用する動きが活発化。従来はもとの生地よりも粗い生地になってしまうため、軍手や帆布などでの活用がほとんどでしたが、最新の紡績技術によって糸の品質が向上したことから、+CLOTHETでも協力工場の賛同を得て、この取り組みを開始しました。
ただ、リサイクル糸とはいっても100%リサイクルではなく、いまの技術では紡績の際に新しい繊維原料を混ぜ合わせることが必要で、オリジナルの糸の特性を再現することは不可能です。そのため、今回のプロジェクトにおけるリサイクル糸も、従来のスビンプラチナムのような繊細でとろけるような柔らかなタッチにはならず、別物ととらえなければなりません。実際、完成した「Recycled Suvin(リサイクルスビン)」はスビンプラチナムとはまったく違う味わい深い表情となり、+CLOTHETではこれをいままで手がけてこなかったアイテムに挑戦し、ブランドの世界観を広げていくチャンスととらえました。
■+CLOTHET Recycled Suvin Project
2018年のデビュー以来、+CLOTHETではビジネスとカジュアルの中間ともいえるスタイルに取り組んできましたが、コロナ禍を経た現在、その比重はよりカジュアルへとシフトしています。そこで今回のプロジェクトではリサイクルスビンの糸の特性を見極め、どう料理するのが最適なのかを吟味した結果、少しラギットな雰囲気を残したTシャツで、お客様のファッションの選択の幅を広げることを目指しました。
このリサイクルスビンを使ったTシャツは、ジャケットの下に着て美しく映える定番人気の「Tailored T-shirts(テーラードTシャツ)」に対して、カジュアルな感じに一枚で着ることをイメージ。目を詰めて天竺編みで編み立てたしっかりとした生地は、洗練された都会的な雰囲気をキープしながら、着込むほどに味わいの増すアメカジ調のテイストも併せ持っています。そのため、テーラードTシャツよりもシルエットをひとまわり大きくして、アイコンだった前振り袖や裾のスリットなどはあえて排除。洗濯してもヨレずに型くずれしにくいタフでコシのある風合いは、デニムやジョガーパンツなどのボトムスとも相性がよさそうです。
一方のソックスは、いまやビジネスシーンでも珍しくなくなったスニーカースタイル向けに以前から展開を考えていたもの。内側の前のほうをパイル地にするなど、履き心地を重視したつくりを特徴にしています。さらに、糸の特長を考えると、カジュアルな裏毛のスウェットシャツやフーディー、あるいは少し粗野な素材感を生かした製品染めなどにも相性がよさそうなことから、今後に向けた商品づくりのアイデアがどんどん膨らんでいます。
+CLOTHETにとって初の試みのリサイクル糸の開発は、希少な繊維をムダにしたくないという想いが出発点。問題が山積するファッション業界のことを考えると小さなことかもしれませんが、まずはできることからやってみようというのが+CLOTHETのスタンスです。
それゆえ、“気に入って手に入れたものが、たまたまリサイクル素材でできていた”といったぐらいの感覚がちょうどいいのではないでしょうか。実際、商品化するかどうかの決め手となったのは、“リサイクル”と謳わなくても、自分たちが着たいかどうか。天然資源の枯渇への懸念や、地球温暖化の問題、さらに生産時の環境負荷を減らすための特効薬はいまのところ存在せず、それらの解決には長い時間がかかります。だからこそ、+CLOTHETはつくる側も着る側も、肩の力を抜いて、楽しみながら続けていくほうがいいと思うのです。