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生地商社 潮目をチャンスに変える モノ作り重視へ原点回帰

主要生地商社の直近業績は極めてまだら模様だ。増収増益を果たしたところがあれば、減収減益を強いられたところもある。市況に対するトップのコメントで共通するのは「かつてないほど悪い」という点。昨年4月の増税後から尾を引く消費不振と、円安を主要因としたコスト高が各社の収益を圧迫しているのは間違いない。今後はこうした環境変化を潮目ととらえ、自らの変化を促す動きが活発化しそうだ。

スタイレムの2015年1月期(前期は瀧定大阪として)は服地、製品がともに増収で全体も増収だった。瀧定名古屋の同期は紳士服、婦人服地、輸出がけん引して増収増益。宇仁繊維の上期(14年9月~15年2月)は増収増益だったが、増収幅は3.8%増と伸び率は鈍化している。

双日ファッションの15年3月期、コッカの直近5カ月間(14年11月~15年3月)も増収増益となる見込み。コスモテキスタイルの3月期は売り上げ、利益ともに前期比横ばい。澤村の上期(14年9月~15年3月)、北高の15年1月期は減収減益だった。

業績には各社各様の事情があるが、多くの生地商社が市況悪化のなかで増収を果たしたことは特筆すべきだろう。先に触れたほぼすべての生地商社が円安を追い風に海外市場向け生地販売を拡大し、国内向けでも「減収とはなったが、柄パンツ向けの落ち込みはかなりカバーできた」(北高)というように、堅調から好調に業績を推移させた。

業績の維持拡大のためにも市況の回復が待たれるが、一方で市場自体に潮目とも言える変化の眼が出ていることも確かなこと。それは、「いくら安くてもいらないものはいらないという消費者が増えてきた」(スタイレム)という消費者心理の変化や、国内市場ではもはや規模の拡大は望めないことだ。

「社内の意識変化を促すために組織体制を一新する」(コッカ)、「インバウンド需要取り込みに向け、メードイン・ジャパンの訴求を強める」(北高)、「新規事業の種をまき、順次刈り取っていく」(コスモテキスタイル、澤村)など、環境変化に対応して各社も変わろうとしている。

国内服地最大手のスタイレムは、「当社が元々持っていた、市場をけん引するような企画提案の力を改めて磨く」ことで潮目をチャンスに変えていく。海外トレンドのアレンジではなく、市場の先を読み、「テキスタイルのプロとして売れ筋を自ら作っていく」ことに重きを置く。コスト計算ばかりが優先されるなか、こだわり.の日本のモノ作りが失われつつあるとの危機感がある。

この危機意識はスタイレムに限ったものではなく、未発表ながら産地に事務所を開設することを決めた生地商社もある。自ら織機を購入して産地の提携機業に設置する宇仁繊維のような例もある。市場が潮目を迎えるなか、モノ作りへの原点回帰が生地商社の未来を開く。

2015年(平成27年)4月16日 木曜日 繊維ニュース 1面

 

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