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本質的な価値失わぬように 二極化への対応強める 瀧定大阪社長 兼 スタイレム会長 瀧隆太氏

 スタイレムを中核とした瀧定大阪グループの2020年1月期は前期比減収減益だった。売り上げは原料、生地、製品のいずれもが前期を下回ったが、欧米、中国を軸に海外市場向け生地販売は拡大した。ただ、今後は新型コロナウイルス感染拡大の影響も不可避。不透明さ増す環境下、瀧隆太社長に方針を聞いた。(インタビューは4月10日)

  ――10年後の未来、繊維産業はどのようになっている、あるいはなっていてほしいと願いますか。
 デジタル化は間違いなく進んでいるでしょう。逆に言えば、それが進まないようなら、日本の繊維産業は衰退していると思います。
 ただ、デジタル技術の活用が繊維・ファッション産業を覆いつくしてしまうのなら、それはそれでやっぱり危機的な状況だと考えます。
 デジタルというものは基本的に効率化や標準化を促しますし、そういう活用の仕方を各社、各人が意図しています。しかしそれはファッションというものが持つ本質とはかけ離れたものだと思うのです。
 デジタルにしろ、アナログにしろ、本質的な価値というものは変わらないし、変えてはいけないはず。仮に、欧州のトップメゾンがデジタル化を全面的に進めたとします。しかしそのやり方を間違えれば、ブランドの価値を損なう可能性が大いにあり得ると思うのです。
 肝心なことは、取り入れ方と生かし方です。例えば、教育にもeラーニングなどデジタル技術が急ピッチで活用され始めています。しかしそれだけでいいのか。教育の本質とは何か、人づくりの本質とは何か。それを見極めた上で上手に取り入れ、生かしていかなければ、人を育むという本質的な部分が失われてしまうのではないかという危機感があります。
 ファッション業界でも既に商品の同質化といった現象が起こっています。目先の金もうけや生き残りにデジタル技術を活用するだけでは、多様性やワクワクするような感覚といったファッションが持つ本質的な価値が失われてしまいます。何のための、誰のためのデジタル化なのかを皆が真剣に考えていかなくては、ファッション産業は衰退してしまうのではないでしょうか。10年後には日本の繊維・ファッション産業が、デジタル技術を駆使した上でファッションの本質を取り戻している姿に期待したいですし、当社もそのうちの一社になりたいと考えます。

  ――サステイナビリティー(持続可能性)も浸透していきそうです。
 バーゲンセールを見越した生産、販売体制や、全世界的な供給過剰など、繊維・ファッション産業には第三者の目から見ればにわかには信じられないような“文化”がたくさんあります。ようやく近年はこうしたおかしな習慣に“メス”が入り始めました。10年後にはこうした習慣が是正されていることに期待したいですね。

  ――2020年1月期は。
 13社の業績を単純合算したグループ業績は、売上高が946億円(前期比3・7%減)、売上総利益が153億円(3・3%減)、営業利益が20億円(0・3%減)で減収減益でした。
 営業減益は貸倒引当金の増加幅を引き上げたためで、これがなければ実質的には営業増益でした。
 品目別では原料が45億円(9・6%減)、生地が510億円(2・7%減)、衣料製品(卸売)が330億円(4・8%減)、ライフスタイル製品が38億円(0・8%減)、その他が22億円(4・2%減)でいずれも減収でした。
 外・外含む海外市場向け生地販売は8%増で売り上げが約130億円に拡大しています。   
製品事業では課題であった利益体質への転換が、不採算取引からの撤退、経費抑制などにより順調に進展し、利益に貢献しました。
 瀧定大阪とスタイレムの2社連結では、売上高が798億円(4・5%減)、営業利益が13億円(11・2%減)、経常利益が12億円(5・9%減)となり、純利益は前の期に特別利益があったことと、当期に受注損失引当金を計上したことにより、3億3100万円(81・9%減)となりました。

  ――今期の戦略を。
 消費の二極化が強まっていますが、前期の傾向としては高品質や高付加価値な商材を扱っている部門が好調でした。この傾向を踏まえ、今後もサステイナビリティー対応を含む高品質商材や高付加価値商材の開発、提案に力を入れます。
 一方、定番品の備蓄機能にも改めて脚光が当たっています。モノを作る難度が高まる中で、当社の備蓄力が評価されているということだと分析できますので、精度向上を図りながら、備蓄機能を磨きます。
 外・外含めた海外市場向け拡大にも引き続き取り組みます。もちろん基軸は国内向けです。国内仕入れ、販売を維持拡大させた上で、海外事業の拡大にも挑むということです。

2020年(令和2年)4月23日 木曜日 繊維ニュース 16面

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