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トップインタビュー スタイレム 文化や風土にもっと自信を

瀧定大阪社長 スタイレム会長 瀧隆太氏

-日本の繊維産業にとって潜在力とは何でしょうか。
 秘めたる力という意味では、日本の文化にはもっと自信をもっていいのではないでしょうか。文化や歴史、風土は、本人たちにとっては当たり前のことであり、その価値にも気付きにくいものです。当社がイタリア法人を設立する際には日本人の勤勉さがことさら注目されました。われわれは感性に優れたイタリアというイメージをもっていますが、実はイタリアの人たちも真面目でよく働きます。それは法人を設立して初めて気付いたことです。
 自らの文化や風土、国民性などを正確に発信することは難しいことですが、自信を持って発信すべきでしょう。日本の繊維産業が世界に打って出て行こうとしていますが、その際にはリードタイムを短縮する必要がある。生産キャパシティーの問題があり、すぐに解決できるものではありませんが、正しく現状を発信し、情報を収集するしかない。これは文化や風土を発信できていないことと同じ現象と言えます。

-貴社の潜在力はどのあたりにあると思いますか。
 道を切り開くマンパワーだと思います。これまでもこの力を顕在化してさまざまな道を開いてきました。今はとりわけ海外市場を開拓中。世界中の顧客とつながりができつつありますし、拠点もあります。情報収集も続けながら、マンパワーを発揮して海外市場を開いていきます。

-今上半期(2019年2~7月)を振り返ってください。
 マーケットは非常に厳しかったですね。主力の国内向け生地販売は微減収でした。これは想定の範囲内で、いかに利益を出せるかをポイントにしていましたので、増益は果たせました。付加価値化と効率化を進めた結果です。
 海外市場向け生地販売は中国向け中心に堅調でした。中国も景況感には一時期ほどの元気はないものの、輸出部門のスタッフと、約30人いる中国法人のスタッフのマンパワーでなんとか伸ばせた格好です。既存顧客が落ち込むことも多いのですが、新規でそれをカバーできています。備蓄による即納機能も同国向け拡大要因の一つです。
 欧米向けをもっと伸ばしたいのですが、現状は中国ほどの堅調さはないですね。新規顧客を獲得しても、その維持が難しい。もっときめ細かくフォローする必要があります。7月にはインドネシア事務所を開設しました。主に生地のモノ作りの拠点として運営します。

-製品事業はいかがでしたか。
 ここ数年、利益改善に取り組んできましたが、まだ途上です。手応えは少しずつ出ていますが、消費増税後の市況悪化を懸念しています。

-企画・提案・リスク(備蓄)が貴社の強み。衣備蓄機能にも変化が求められていると思いますが。
 アパレルからの期中追加が以前と比べてかなり減っています。ですから、備蓄の濃淡はつけるべき。一方、海外向けではかなりの備蓄を増強しています。染工場で納期が大幅にかかるようになるなどリードタイムが輸出における最大の問題になっており、それを解決するためです。海外ブランドが求める納期に応えるには、備蓄がかなり有効というのが現状です。この機能を続ける間に、産地や染工場と一緒になって納期短縮の方策を探っていきたいと考えています。

-今後の事業環境見通しと重点戦略を。
 国内アパレル市場は厳しさが続くと見ています。昨年の流通在庫過多がひどすぎた。その反動が今になって表れているのだと思います。在庫が膨らんだため、アパレルがモノ作りに慎重になっています。我慢の時だと言えますが、国内向けをなんとか堅持しながら、海外マーケットを攻略していくというのが、当面の販売戦略です。

-国内アパレル市場は今後どうなっていくのでしょうか。
 厳しいのは事実ですが、ファッションというのは本来楽しいもの。この追及はこれからもしていかなくてはいけない。当社も含め業界全体がこれまで、ファッションの楽しさを追及し切れていなかったのではないかと思います。消費マーケットが消滅することはありません。どういう形でどういうものを提供するのか。チャンスはまだまだあると思いますし、悲観もしていません。変化はチャンス。価値観の変化を注視し、チャンスにしていきたいですね。

2019年(令和元年)10月31日 木曜日 繊維ニュース 17面

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