スタイレムはアパレル製品事業で、中国でのQR生産体制を強化する。コロナ禍で「できるだけ発注を引き付けたい」という取引先のニーズが強いためだ。この間、東南アジア縫製を増やしてきたがコロナの影響で短期では大きく減り、多くが中国生産になる。
1年ぶりに開いた展示会には多くの取引先企業が来場した。この時期に開くアウター、ニット製品展はバングラデシュなどを活用したアウターの早期受注の話し込みが軸。しかし現状で1年先のアウターの発注を求めても取引先の反応は少ない。「来年、再来年のアウター展なのに多くの取引先が来てくれた。無理にアウターを売るのではなく、取引先に寄り添い、一緒に来年のMDやアウター戦略を考える場にした」と橋本匡史ガーメント事業部事業部長。
ウール中心に上質素材を使いながらも閑散期に作ることで値頃さを実現するバングラデシュでのアウター生産も継続するが、減少する見通しのため、中国での生産体制を強める。
同社ならではの生地の在庫力と品揃えの豊富さを武器に「小ロット、高速QRを実現する」。今年から新たに中国で在庫する生地コレクション「コエ」をスタート。ウールなどアウター向け以外にエコ・シャンブレータフタや合皮なども揃え、バリエーションを充実する。
来秋冬のテーマは、再生を意味する「リンカーネーション」。伊プラートで作るリサイクルウール生地やノンミュールシングウールなど環境配慮型素材を充実した。ニーズが強い抗ウイルス素材では、染色整理工場の藤井整絨と一緒に抗ウイルス・抗菌防臭加工「バイロフ」を開発した。「様々な繊維に加工できるが、難しかったウールに加工でき、効果が持続する点で他と差別化できる」と強みにする。
2020年(令和2年)12月2日 水曜日 繊研新聞 4面