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スタイレム “サプライヤーとしての機能を磨き世界で通用するプラットフォームを作る” 小川修/社長

スタイレムは、繊維商社の瀧定大阪のサプライヤー事業を引き継ぐ形で今年2月に設立されたばかりの会社だ。長い時間をかけて構築してきた原料・生地・製品のサプライチェーンに磨きをかけ、世界を舞台にビジネスを発展させる。同社が目指す「最強のサプライヤー」の姿について小川修・社長に聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):新会社スタイレムとしてサプライヤー機能をどう磨くのか?
小川修・社長(以下、小川):根幹はこれまでわれわれが培ってきたリスクを取る力である。リスクを持って新しい価値創造を提案することが重要だ。瀧定大阪は2010年に中期経営変革プログラム「チャンス・トゥ・チェンジ(C2C)」を打ち出し、企画・開発・調達・販売といった社内サプライチェーンを合理的に活用し、顧客(服地や製品を提供するアパレルなど)に提供できる機能を強化することに努めてきた。かつての瀧定大阪は、30を超える
課から編成される課別独立採算制を徹底し、社内でし烈な顧客獲得を競ってきた。これはこれで事業に活力を生み出すものの、縦割りの弊害があったのも事実だ。そこでC2Cでは全社のベクトルを一つに合わせようと消費スタイルシーン別に5つの事業部に統合した。さらに今回のスタイレム発足にあたっては「テキスタイルマテリアル事業部」「ガーメント事業部」「グローバル事業部」の3つの機能別組織に再編成した。さまざまな強みを最大化するのにベストな組織が出来上がったと思う。これをファッション業界のプラットフォームへと発展させる。

WWD:新会社では仕事の手法も変わってきているのか?
小川:われわれの強みが徹底したドブ板営業であることには変わりない。服地や製品に精通するのはもちろん、一社一社の顧客が求めるものを探り、膝を突き合わせてベストなサービスを作り上げる。要は昔ながらの泥臭いやりカだ。ただ、時代に合わせて変える部分もある。一例はIT化だ、生地着分のウェブ販売を拡大している。これまではアパレルからファックスで注文を受け、われわれが倉庫や仕入れ先にある在庫を確認して、どの生地を何mと手配してきた。これは積もり積もると大変な手間になる。ウェブ着分システムを通じた販売なら倉庫と一元化したやりとりができて効率的だ。現在ウェブ着分システムを通じての注文は件数ベースでいくと全体の着分発注の3~4割に増えた。非常に初歩的な事柄と思われるかもしれないが、繊維やファッションの業界はまだまだ情報のオーブン化が遅れている。こんな商品を作りたいとウェブ上で公開し、世界中の工場が名乗りをあげるといったような情報のオープン化が今後も進むだろうし、われわれも旗振り役になって業界のIT化やオープン化を担っていきたい。
WWD:海外市場の開拓に積極的だ。特に中国での伸びが目覚ましい。
小川:海外販売は5年前から再構築し、日本で作った生地を現地で販売するビジネスモデルを打ち出している。スタイレム発足の際に「グローバル事業部」を設立し、海外販売の強化を鮮明にした。中国ではスタイレムの上海現地法人・時代夢商貿(上海)有限公司と深圳現地法人・時代夢商貿(深圳)有限公司が内販を拡大している。上海現地法人は設立5年で売上高60億円に達した。現在、海外販売は計70億円前後の規模。3年後には100億円規模を目指しており、早ければ今期中に北京、中期的にはニューヨークとパリにも拠点を設けたい。

WWD:中国が伸びている理由は?
小川:得意なドブ板営業が軌道に乗りだし、当社のサービスの価値が多くの顧客に認められるようになった。品ぞろえに関しては圧倒的な自信がある。上海では展示会はもちろん、大きな常設ショールームを開設し、いつでも顧客が生地を選べる環境を作った。そのうちに顧客から「こんな生地はないのか?」と相談を受けるようになり、デザインや価格についてリスクを持って柔軟に対応してきた。経済成長が鈍化しているとはいえ、中国の市場は拡大を続けている。かつての日本のように新興アパレルが勃興しており、付加価値の高い生地への需要は今後も増える。現在、上海法人は日本人8人を含めて35人、深圳法人は日本人1人を含めて6人のスタッフで運営しているが、業容拡大に伴い、営業マンを増強する。北京法人も早く軌道に乗せていきたい。欧米では伊プラートに現地法人があるものの、あくまで調達拠点の役割に過ぎない。プルミエール・ヴィジョンやミラノウニカへの出展を通じて、独自素材の「ZEN kiwami(ゼン・キワミ)」などを有力アパレルに訴求してきたが、事業拡大には拠点が不可欠と判断した。

WWD:円安で日本のテキスタイルの海外輸出については追い風だ。
小川:為替云々よりも、いかにして魅力的なサービスを提供できるかに尽きる。中国にしても為替で成功しているわけではない。付加価値が高い提案は、ある程度の為替問題を乗り越える力を持つ。業界の常識にとらわれることなく、サプライヤーとしての機能を進化させることが肝心だ。国内外に限らず、生地を販売して終わりという時代ではない。それが製品化され、さらに消費者に届くときにどれだけ価値を最大化できるか。そんなところにまで踏み込む必要がある。

TOPICS 1 上海現地法人がハイエンドな製品販売スタート
ハイエンドの中国アパレルメーカーへ向けてテキスタイル販売を進めるスタイレムの上海現地法人である時代夢商貿(上海)有限公司は、2015年度から中国のセレクトショップなど小売店に向けて製品販売を開始した。オリジナルブランドである「SUGAR AND SALT(シュガー アン ドソルト)」や「IPSE(イプセ)」などに加え、「今治謹製」ブランドで展開している今治タオルも発売する。「上海で開いた4月の展示会には100社以上が来社し、大きな手応えがあった。生地だけでなく製品販売も中国内販を進めていきたい」と安田季隆・総経理。

TOPICS 2 スタイレムイタリアが「Le Tinte」コレクション強化
イタリア現地法人であるスタイレム イタリア(STYLEM ITALIA)S.R.L.は、設立から今年で3年目。今春からオリジナルの生地ブランド「Le Tinte(レ ティンテ)」の強化に動き出した。まず、今年2月、欧米市場への拡販を狙い、パリで開催された世界最大の素材見本市プルミエール・ヴィジョンに出展。最初の2年は、イタリアのクリエイティビティーや独自のサプライチェーンの確立に注力し、今年はイタリア人デザイナーを訪日させ、コレクションに「日本」ならではの美意識や文化、伝統を取り入れ、デザイン力向上に努める。

2015年(平成27年)6月29日 月曜日 WWD JAPAN BUSINESS 繊維商社特集11面

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