トップ>ニュース>STYLEMニュース>コアバリューを磨き、日本を中心とした世界で成長を 瀧定大阪代表取締役社長兼スタイレム代表取締役会長 瀧隆太氏

ニュース

コアバリューを磨き、日本を中心とした世界で成長を 瀧定大阪代表取締役社長兼スタイレム代表取締役会長 瀧隆太氏

 テキスタイル事業やアパレル製品事業などのサプライヤー事業に集中する瀧定大阪・スタイレム。テキスタイルを軸に日本をはじめとした世界で事業基盤を強化しながら、独自のコアバリューを磨き、成長することでグローバルテキスタイル企業を目指す。

―現在の市場をどう見る。
 市場の二極化がさらに進み、それぞれへの対応が欠かせません。得意なハイエンドゾーン向けは、お客様の期待を超える提案素材を作り込み、さらに強くします。企画の精度向上とリスクの仕方、奥行きの付け方が鍵。既存の延長線上の企画や販売手法に留まることなく、今の時代に合わせたリスクモデルを常に模索して行きます。世界的に「サステイナブル(持続可能性)」、「トレーサビリティ(履歴管理)」などが重視され、無駄なものは作らない、という視点がより求められています。だからこそどの商材をどれだけリスクするのかという精度が重要になります。これはお客さま、仕入れ先さま、弊社だけの視点だけでなく、業界全体、社会的貢献面からも重要です。
 比較的買いやすい価格帯の商材開発にも力を入れています。インドの現地法人を通じてインドの良質な綿を調達、開発する取り組みでは、バルドマングループなどと協業し、お客さまに応じた様々なタイプの生地を作っています。また、インドでは原料調達からアパレル縫製まで一貫で手掛ける仕組みを構築、顧客のニーズに応じて様々な形で商材を提供できる形になってきました。

―今後の成長の鍵は。
 テキスタイルを軸にコアバリューを磨くことです。価値のある素材を作るには生地のプロであり続けないといけません。好調な中国では中国調達生地も伸びてはいますが中心は日本製生地でニーズも高い。日本の有力な産地企業と集中的に深く取り組めています。弊社はメーカーではありません。日本を中心とした数多くの仕入れ先さまとお付き合いがある中で、世に求められるものを予測し、自ら新たに生み出せる主体的な独自の企画力・開発力を高めていきます。そのためには個々の感性・感度もさらに研ぎ澄ます必要があります。
 欧州のハイエンド向けにも日本素材は売れていますが、納期等においてはまだ課題は残っており、課題解決を含め日本の素材開発をさらに強化する必要はあります。また、この10年弱の間で設立して生きた各海外法人と連携し、世界各国の強みを生かしたモノ作りをさらに進めていくことが大きな成長の鍵であると感じています。それぞれの地域の役割が明確となっており、手応えはあります。
 ただ生地売りだけでは限界があります。原料で、生地で、製品でというようにお客さまが求める形で供給することが重要。それぞれに差別化された機能がなければ応えることができません。
 製品事業は、当たり前のことですが、品質面・生産面・納期面を強めます。取り組み工場との連携を強化し、レベルアップを図ります。やることはたくさんある。それだけ伸び代があります。

―リスクする商品などは過去データをAIに分析させるのか?
 社内のシステムを活用し販売データの蓄積などは進んでいます。ただ過去の売れ筋のデータの活用は諸刃の剣。人にしかできない判断や知恵によってシステムをどう使うかという視点がないと前年踏襲に縛られる恐れがあります。弊社の強みは、「これは売れる」と読む力。この感度が削がれては意味がありません。
 今AIは期待先行で流行りものではと感じています。AIは万能ではありません。革新的に進んだのは画像認識の分野で、人のように考えるといった人工知能の面ではまだそのレベルにない。活用できている企業もまだ一握りであくまでもイメージ先行です。ただAIテックを切り口に積極的にアンテナを張り、情報収集は進めています。

―世界戦略を進めるには。
 日本では数多くのお客さまとの取引はあるものの、世界のマーケットは大きく、まだまだ開拓できると感じています。その中で重要なのは、“適地適品”です。先ほども申しましたが、世界的な二極化となっているマーケットに対応するには、日本をはじめとした各国拠点の強みやリソースを活かした突き詰めたモノ作りが必要です。そのためにはR&D機能の強化が必要になってくるかもしれませんね。
 東京に作ったスワッチギャラリーは異業種を含め様々な人が訪れ、新規開拓が進んできました。例えばスワッチギャラリーやWEB STOREを活用した顧客開拓のベースが日本で作れれば、海外でも同様に展開する仕組みを作るなどやりたいことはたくさんあります。デジタル技術や仕組みは積極的に使います。でも今営業現場で徹底しているのは日本に限らず世界でもフェイストゥフェイスでとことんお客さまと向き合うことです。この泥臭さが弊社の原点で強みです。商売とは泥臭いものですから。

2021年トピックス
 繊維業界は川上、川中、川下において大きなイノベーションはあまり起きてきませんでしたが、ファッションビジネスの未来、業界の枠組みを大きく変えるトリガーになりうるプラットフォーマーが、素材やサプライチェーンの中ででてきそうです。業界の今までのやり方にとらわれず、異業種からの参入だからこそゼロベースから物作りの流れを一気に変えてしまう。そうした企業とどう組み、新しい仕組みを構築するかが試されます。その時に、弊社のコアバリューとしているマーケットトレンドを先読みする感性・感度、そこから生まれる独自の企画開発力・提案力が強みとなってくると考えています。それらをしっかりと磨き、国内外で応用することで成長できると感じています。

2018年(平成30年)7月25日 水曜日 繊研新聞6面

一覧へ戻る
PageTop